理学療法士に興味がある皆さんの中には、自分自身がスポーツでケガをしたことをきっかけに、理学療法士という仕事を知った方も多いと思います。スポーツをやっていた方やスポーツが好きな人は、スポーツリハビリテーションに興味がある方も多いのではないでしょうか。 ここでは、スポーツリハビリテーションとはどのようなものか、そしてスポーツリハビリテーションにおける理学療法士の強みを紹介していきます。
目次
- スポーツリハビリテーションとは
- 受傷から競技復帰までのスポーツリハビリテーションの流れ
1.メディカルリハビリテーション
2.アスレティックリハビリテーション
3.競技中のコンディショニング - スポーツリハビリテーションにおける理学療法士の強み
- スポーツリハビリテーションに関わる他の職種は?
1.アスレティックトレーナー
2.柔道整復師
3.鍼灸師 - まとめ
スポーツリハビリテーションとは
通常のリハビリテーションでは、日常生活がその人らしく送れるようにサポートを行います。しかし、スポーツ選手やスポーツをしている人は、ケガや故障が改善し、日常生活が送れるようになっても、競技場面において思ったようなパフォーマンスが行えないことがあります。 スポーツでその人が持つ力を十分発揮できるようにサポートするのが、スポーツリハビリテーションです。
受傷から競技復帰までのスポーツリハビリテーションの流れ
スポーツ外傷の受傷から復帰までのリハビリテーションは、それぞれの時期において関わり方が異なります。
<メディカルリハビリテーション>
メディカルリハビリテーションとは、手術直後または受傷直後から行われるリハビリテーションです。早期の日常生活への復帰と、痛みや腫れの軽減や関節可動域の改善などスポーツ復帰への土台作りを行います。
<アスレティックリハビリテーション>
アスレティックリハビリテーションとは、日常生活が送れるようになった後、競技復帰に向けて、パフォーマンス向上を目的に実施します。この時期では、関節可動域や筋力、全身の持久力、スピード、巧緻性などスポーツに必要な運動能力を、運動に耐えられるだけのレベルに回復するようにトレーニングを行います。また、実際にスポーツ動作を確認し、体の使い方や危険な動作はないかなど評価し、トレーニングを行います。
<競技中のコンディショニング>
スポーツを実施していると、疲労や疼痛が生じます。 スポーツ中のパフォーマンスを最大限に発揮できるよう、疲労の回復や疼痛の軽減など、身体機能や運動機能、精神機能等の調整を行います。
スポーツリハビリテーションにおける理学療法士の強み
スポーツリハビリテーションには、理学療法士だけではなく、アスレティックトレーナー、柔道整復師、鍼灸師など多職種が関わっています。その中でも理学療法士の強みは一体なんでしょうか。理学療法士は、病気やケガで身体機能や動作能力が低下した方に対し、運動療法や物理療法を利用して身体機能の回復を目指す仕事です。養成校で動作分析などの専門知識を学びます。
様々な動作において詳細な関節の動きを含めた動作分析を行う力があります。スポーツリハビリテーションにおいても、理学療法士は詳細な動作分析を行い、適切な治療やトレーニングを行うことができることが強みと言えるでしょう。また、理学療法士は医療的な知識を持ち合わせています。養成校では、スポーツ外傷だけではない幅広い医療の知識を学びます。卒業後も術後リハビリテーションを行う機会が多く、術式の知識や術後リハビリテーションの経験を積むことができます。 医学医な知識を生かしリスクに配慮しながら、リハビリテーションを行えることも強みのひとつです。
スポーツリハビリテーションに関わる他の職種は?
理学療法士と同じようにスポーツリハビリテーションにおいて、選手の体のケアに関わる職種に、アスレティックトレーナー、柔道整復師、鍼灸師などがあります。 それぞれの強みについても簡単に紹介します。
<アスレティックトレーナー>
アスレティックトレーナーは、スポーツ外傷やスポーツ動作の評価方法、トレーニング方法を中心に学びます。 医学的な知識を学ぶカリキュラムは理学療法士より少ないですが、アスレティックリハビリテーションについて強みを発揮します。
<柔道整復師>
柔道整復師は、ケガなどによって損傷した骨・関節・筋肉・靭帯などに対して、柔道整復術を使って治療を行います。 脱臼時に整復が行えるため、スポーツ外傷受傷直後に対応できることが強みです。
<鍼灸師>
鍼灸師は、鍼や灸を使った治療法を行います。自然治癒力を高め、病気の治療や与蔵などを行う仕事です。スポーツリハビリテーションでは、コンディショニングの場面で力を発揮します
各資格には、それぞれの特色があります。二つの資格を持つトレーナーもいますが、幅広い範囲のスポーツリハビリテーションに関わるためには知識が必要です。理学療法士は医学的知識が多い反面、リスク管理等に敏感になりやすい傾向にあります。 スポーツリハビリテーションに関わることを目標とするのであれば、アスレティックリハビリテーションの知識なども身につけておくと良いです。
まとめ
スポーツリハビリテーションにおいても、理学療法士の医学的な知識や詳細な動作分析を行える能力は必要とされています。一方で、理学療法士にはない知識を持った、スポーツリハビリテーションに関わる職種もあります。 理学療法以外の知識を学び、様々な範囲の治療を行えることも重要ですが、それぞれを認め合い、協力しながらスポーツ界を支える人材が必要とされます。